2011年11月26日土曜日

今福龍太さんトークイベント+サイン会 『薄墨色の文法』刊行記念@海文堂書店

12月4日(日)、神戸海文堂書店にて、新著『薄墨色の文法』(岩波書店)の刊行を記念して、人類学者・批評家の今福龍太さんのトークイベントを開催します。関西で今福さんのお話しを聞く貴重な機会、ぜひご参加下さい!

今福龍太さんは、ロンドン大学での国際会議「フクシマ以降の人文学」で講演されたばかり。(会議の様子は、西山雄二さんのWEBサイト「哲学への権利」にアップされています。)

ロンドンへの旅の報告も含め、近年精力的に探究している、国家や大陸原理に抗する「群島 - 世界」のビジョンとは何か、ラテンアメリカやカリブ海の民衆の即興的な知恵=「薄墨色の文法」とは何か、深く熱いお話しをうかがうことになると思います。

ご予約は、海文堂書店へ直接ご連絡下さい。
books@kaibundo.co.jp

TEL (078) 331-6501 FAX (078) 331-1664
 
トークイベントに関連して、海文堂書店では、今福龍太さん選書のブックフェア「瓦礫と書物」も開催します。今福さんの推薦する50冊強の珠玉も書物たち。こちらも、どうぞお見逃しなく!


ブックフェア
「瓦礫と書物」

Books selected by Ryuta Imafuku

書物が瓦礫のなかに消えた。
瓦礫のなかから書物がよみがえった。
このどちらもが真実です。
どちらかが先、というわけでもありません。
歴史とは、この二つの過程の絶えざる連続でした。
滅びない本はない。
だが同時に、本はつねに自らの灰燼のなかから再生する。
書物とは、究極的にはこの死と再生の連続性への直観に人類が与えた、特別の名前なのかもしれません。

波に流され、押しつぶされた瓦礫の風景は、破壊と悲惨を超えて人間に黙示録の彼方の光を照らし出さねばなりません。
戦争や災害の瓦礫を踏み分け、隘路のなかから新たな生命の意味を探り出した作家たち、思想家たち。
道徳的に破壊された世界の臨界で、あらたなユートピアにむけて人類が夢想し、また行動した軌跡を問い直すことも、瓦礫から書物が再生する方法のひとつです。
意識の風景としての「瓦礫」を内に抱いて、人間はどこまで深く、遠くまで思考できるのでしょうか。
それについて考えるための書物の小さなリストがここにあります。

世よ直れ。ユヤナウレ。
かつての合理世界に復旧しなければ、という強迫観念によって身動きできなくなっている都会を後目に、南の島々や青い地平線の平原からこんな声が聞こえてきます。
世よ直れ。ユンノーレ。
そう、瓦礫のなかから新たな本のよみがえりを想像することは、大きな「世直し」の第一歩なのです。
本質的にあたらしい創世。
その動きに、書物とともに連帯しましょう。


トークイベント
「群島–世界の薄明へ」

今福龍太(人類学者・批評家)

Tsunami。今日の私たちの日常に厳しく突き刺さるこの語を、英語を媒介にしてはじめて世界にむけて発信したのが、ラフカディオ・ハーンである。ハーンは神戸時代の1896年に明治三陸地震を体験し、津波の伝承をめぐる短編「A Living God 生神様」を執筆した。ギリシア・イオニア諸島に生まれ、アイルランドを皮切りにヨーロッパ各地、アメリカ南部、カリブ海マルティニック島などをへて日本列島へ漂着したさまよえる群島人、ハーン。

たとえば、震災と大津波という出来事に沈殿する深い時空の闇に耳を澄ませるハーンの考古学的想像力に、「薄墨色の文法=Gramática Parda」、すなわちスペイン語に由来する「民衆の即興的な閃きのような知恵」を探り当ててみること。畏怖すべき海洋の力によって崩壊した私たちの世界観、その瓦礫のあいだを縫う薄明の道を、孤独な旅人として新たに歩むために——

近代の大陸原理の支配に抗して、海と島々の側から世界観を更新する野生の詩学の奪還を論じた『群島–世界論』、そして新著『薄墨色の文法』について、著者の今福龍太さん(文化人類学者・批評家)にお話しいただきます。

日時 2011年12月4日(日) 14:00~16:00(開場13:30)
会場 海文堂書店 2F・ギャラリースペース
入場料 500円
協力 岩波書店
要「整理券」。先着50名様に整理券をお渡しいたします。海文堂書店店頭で、またはTEL・FAX・メールにて海文堂書店までお申し込みください。(お申し込みの際には、お名前・電話番号・参加人数をお知らせください)

■『薄墨色の文法 物質言語の修辞学』(岩波書店) 定価 2,940円 発売日 2011年10月4日
風の唸り、川の水音、森のざわめき、詩語による交信。物質言語の響きを聴きとり、これを人間の初発のことばとして返すこと。谺の修辞法を学ぶこと。分析的言語では掬いとれずにきた世界の肌触りを私たちが奪還する方法とは? メキシコの火山高原からカリブ海の灼熱の汀へ、アフロ・ブラジルの黄昏から奄美群島の唄の魂まで、ことばと感覚の薄墨色の領域を求めてはるかな道行きを重ねてきた人類学者の、画期的な試論にして、時空を超えた「認識の自叙伝」。

■今福 龍太(いまふく りゅうた)
1955年生まれ。文化人類学者・批評家。東京外国語大学教授、同時にサンパウロ・カトリック大学客員教授として映像論/偶景論のセミナーを随時担当。さらに群島という地勢に遊動的な学びの場を求めて2002 年より巡礼型の野外学舎である奄美自由大学を主宰。著書に『荒野のロマネスク』『野性のテクノロジー』『ここではない場所』『ミニマ・グラシア――歴史と希求』『群島―世界論』(以上岩波書店)『クレオール主義』(ちくま学芸文庫)『身体としての書物』(東京外国語大学出版会)『レヴィ=ストロース 夜と音楽』(みすず書房)など多数。

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